クロモジはなぜ黒い?2

承前
 このクロモジに注目したのは東北帝国大学理学部生物学科の初代教授ハンス・モーリッシュです。植物生理学者として著名なモーリッシュは1921年に来日し1925年に離日しました。日本滞在中の研究をまとめたのが1925年に出版されたPflanzenbiologie in Japanです。長く手に入らなかったのですが2010年にペーパーバック版が再販されて簡単に読めるようになりました。この本の中のRegelmäßiges Auftreten wachsliebender Pilzeという項で植物表面に生育するワックス嗜好性の真菌のことが述べられています。クロモジの黒色の原因についてもそこで考察されています。
 ある日モーリッシュ先生は日本の食堂に入ります。そこで、テーブルの上に置かれている爪楊枝が普通の爪楊枝でないのに気づきました。その爪楊枝は上半分が木の色で下半分が黒色だったのです。

続く