文献ゼミ:ブナ上で生育させた異なる木・リターにコロニー形成をする子嚢菌類と担子菌類による酸化酵素分泌とリグニン分解のパターン

子嚢菌類、担子菌類とはなにか。

これらは真核生物の菌類に含まれる分類群の1つで、この分類群にはいわゆるカビや酵母、キノコの仲間が含まれています。

これらの中には、難分解性天然化合物(リグニン、セルロース、ヘミセルロースなど)を分解する真菌が存在し、地球規模の炭素サイクルや産業における生化学的プロセスの発達に関わってきました。このプロセスは真菌が分泌する加水分解酵素によるものであり、現在までに様々な加水分解酵素が発見されています。

今回紹介する論文は、キノコを用いた酸化酵素の分泌とリグニン分解に関する研究です。
タイトル
Patterns of lignin degradation and oxidative enzyme secretion by different wood- and litter-colonizing basidiomycetes and ascomycetes grown on beech-wood
掲載:http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1574-6941.2011.01144.x/full

この論文では、腐朽タイプの異なる11種の子嚢菌類と担子菌類に属するキノコを用いて、分泌する酸化酵素とリグニン分解により生成されるリグニン分解物のパターンに各種間で違いが見られるかを調査しています。

結果として今回の調査では、腐朽タイプの違いによりある程度分泌酵素と生成分解物のパターンに違いがあることが示され、筆者らはこのようなパターンの解析が真菌の分類や同定に役立つことを述べていました。