細菌界の新しい仲間

 界門綱目科属種といえば生物の分類階級ですが、何故か幼い頃にNHKでみた人形劇「新八犬伝」の主題歌のフレーズ〜仁義礼智忠信孝悌〜が思い浮かびます。


 それはさておき、分子生物学的手法を用いることによって、従来知られていない細菌が自然界には多数生息していることが明らかになっています。そのような細菌はこれまでに分離されたことがないことから、難培養性であるという先入観を抱きがちですが、その先入観を裏切る?細菌が山梨大学と産業総合研究所の研究者によって報告されました。この細菌は好気性細菌で、分離培養もあまり難しくないそうです。私たちにもこのような発見のチャンスが意外と身近にあるのかもしれないですね。


 彼らは水生植物ヨシの根圏から分離したこの細菌の学名として、新属新種Armatimonas roseaとして提案し、さらに、この細菌が属する門として、これまで候補に過ぎなかった門に正式な学名としてArmatiomonadetesを提案し、IJSEMの6月号で発表しました。下の引用にもあるように、今回提案された門を含めて細菌ドメインには28門が存在していますが、多くは分離菌株の存在しない、いわば仮の門です。今回はその仮の門(Candidate phylum OP10)に正式な名前を与えたということになります。この門に属する細菌が、今回分離された細菌と同様に容易に培養できるのなら、次々に分離されて新しい学名が与えられていくでしょうね。

この新しい門は細菌ドメインの中で28番目となる門である。これらの門のうち、実に23門は新たな細菌の発見・分離培養によって認定されたものではなく、2001年までに既に複数の細菌の純粋分離株が存在しており、系統分類学的な枠組みの再整理・再編成が行われる中で、改めて正式に門として認定されたものである。今回の研究のように、未知の細菌の純粋分離を経て新しい門の提案・認定に至るケースは非常に珍しい。
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=282371&lindID=4より引用


 実は私たちも、門レベル・・・とまではいきませんが、少なくとも科レベルで新規な細菌を複数分離し、新規分類群として提案するために鋭意研究を進めています。近いうち?に発表できるかもしれません。

(N・K & Tamenobu)