最近のできごと

随分更新をサボってしまいました。最近のできごとは次のとおりです。

1. 2月19日の修士論文発表会で当研究室のHさんが優秀発表賞を獲得しました。

2. Hさんが主著者として投稿していた論文が国際誌IJSEMで公開されました。
http://ijs.sgmjournals.org/content/64/Pt_4/1296.abstract

この論文の紹介は次回におこないます。

菌から出てこなかった冬虫夏草

菌から出てくる冬虫夏草の続きです。冷蔵庫で越冬させて4月に室温に戻したのですが、急に温度をあげるのはよくないそうです。うんともすんと言わないうちにフザリウムが生えてきました。

白神キノコの会代表は自宅兼研究所の庭でヨシについたままの麦角から発生させることに成功しました。自然に近い状態に置くのがよいのでしょうね。

日本菌学会第57回大会に参加しました。

 今月の8日と9日に東京農業大学で開催された日本菌学会第57回大会に参加して来ました。当研究室としては初の菌学会での発表で、S君の学会デビューでもありました。ムキタケに関しての最先端というよりも地味な発表でしたが、興味を持ってもらえたのか中々盛況で、最後まで聴取者が途切れることがありませんでした。

ムキタケ 2011年11月13日 白神自然観察園

当研究室で分離した酵母で新しいリンゴ酢ができました!

 当研究室では様々な自然環境に生息する微生物の研究を行なっています。主として原核生物を対象にしているのですが、醸造業界での実用化を期待して酵母Saccharomyces cerevisiaeの分離も2011年から行っています。このたび株式会社カネショウから、リンゴ酢製造工程の第一段階目、すりおろしリンゴからのアルコール発酵に当研究室で分離した「白神弘大酵母」を使って製造したりんご酢が販売されました。

白神自然観察園のきのこ(3)

 この3月に当研究室も写真撮影や編集に関わった白神自然観察園のきのこ(3)が弘前大学白神自然環境研究所から出版されました。30種の生態写真を掲載した小冊子ですが、既刊の(1)と(2)を合わせて観察園に生えるキノコ92種を紹介しています。現在は観察園のキノコだけを対象にしていますが、白神山地全体に範囲を広げることを計画しています。
 この冊子に関するお問い合わせはhyama(アットマーク)cc.hirosaki-u.ac.jpにまでお願いします。


卒業論文修士論文発表会

もう一月ほど前になりますが、2月14日に卒業論文修士論文の発表会がありました。卒業論文はポスター形式、修士論文はスライド形式の発表です。準備もしっかりして満足のいく発表だったことでしょう。当研究室では卒業生のM君が教員の投票による優秀賞を獲得しました。

菌から出てくる冬虫夏草

 冬は虫で夏には草になるように見えるために冬虫夏草と名付けられた生物がいます。本来はコウモリガの幼虫から発生するものを冬虫夏草とよぶのだそうですが、日本では昆虫やクモ、さらには菌核から形成されるものも冬虫夏草とよんでます。

 菌核の一種である麦角に形成される冬虫夏草にバッカクヤドリタケ(発音はバッカクでも表記はバクカクとすべきだと思うのですが)があります。11月24日に日本冬虫夏草の会から三名の方がヨシのバッカクヤドリタケの調査にいらっしゃいました。以前この菌を報告された弘前大学名誉教授の原田幸雄先生が案内をされたのですが私も同行してバッカクを採集してきました。


左はヨシの穂から形成された麦角、右は麦角の顕微鏡拡大図

 麦角からバッカクヤドリタケを出すためにはシャーレに濡れたペーパータオルを敷いてその上に麦角を並べます。

冬の間は冷蔵庫に入れておいて春に室温に戻すと、このインディカ種の米のような麦角からキノコが発生してくるはずなのでうまく行けばここで紹介します。